FRBとは何か?
日本には、日本銀行という中央銀行があるように、世界各国にも、それぞれの国に中央銀行が存在します。今回は、アメリカ合衆国の中央銀行にあたるFRBについて取り上げます。
FRBとは、Federal Reseve Board の略称で、連邦準備理事会と言います。
米国の中央銀行であるFRBの使命(目的)は、デュアル・マンデートとも呼ばれ、
物価の安定と雇用の最大化目指しています。
その他にも、以下のような役割を持っています。
・物価の安定
・雇用の最大化
・適度な長期金利を維持する
・金利政策を決定し、実施する
・銀行を規制する
・銀行に流動性を提供する
・ベージュブック(地区連銀経済報告)のような経済調査を発表する
米国は、FRS(Federal Reserve System)連邦準備制度という中央銀行制度が設置されています。 FRSのもとで動く組織は、連邦準備理事会(FRB)、連邦準備銀行、連邦公開市場委員会(FOMC)と3つの諮問委員会によって構成させれています。
FRSの中心として動いているのが、FRBです。
FRBは、連邦準備銀行を束ねる中央機関の役割を担っています。FRBは、米国内にある12行の連邦準備銀行を束ねる政府の中央機関であり、銀行ではありません。
日本の中央銀行である日本銀行は、一つの銀行でありますが、ここが米国の中央銀行制度と大きく異なる点です。そのため日本銀行のトップを総裁(Govenor)と呼ぶのに対し、
FRBのトップは、議長(Chairman)と呼びます。
FRBは金融政策の策定と実施を任務としており、また連邦準備制度の活動の最終責任を担っています。本部は、ワシントンです。任期14年の7名の専任理事により構成されます。
金融政策の一貫性を保つことや大統領の圧力を防ぐために理事の任期は14年という長い期間が設定されています。
FRBは、連邦議会の配下にある政府機関ですが、予算の割り当てや人事の干渉を受けない格好となっています。FRB議長は、大統領に対して、政府機関の中で最も独立性を有しているとされ、世界の金融経済に大きな影響を与えることから「米国において大統領に次ぐ権力者」とされています。
連邦準備銀行は、市中銀行の監督と規制など、公開市場操作以外の連邦準備制度の業務を担っています。連邦準備権(ドル紙幣)の発行を行い、その地域にある銀行との紙幣の貸し借りの取引なども行なっています。
元々、米国内を12の地域に分け、12行の連邦準備銀行を国内に設置しました。
ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコと大きな都市に集中して配置されています。このうちニューヨーク連邦準備銀行が全体の要となっています。連邦準備銀行は、FRBの管理の元、それぞれが独立して運営されています。
金融調節などの公開市場操作の基本方針は、ワシントンの理事会会議室で開催される最高意思決定機関である連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee,FOMC) において決定されます。
FOMCの開催は、年8回行われます。必要に応じて、臨時で行われたりしますが、ここは国会と似ていますね。
米国の金融政策を決定するメンバーとしては、連邦準備制度理事会の議長1名、副議長1名、理事5名の7名と、連邦準備銀行の地区連銀総裁12名中の5名に投票権があります。つまり、FOMCのメンバーは、理事会から7名の理事と地区連銀から5名の12名によって構成されます。
5つの連銀総裁枠については、ニューヨーク連銀は、副議長枠となっているため、そのほか11行の連銀を4つのグループに分け、1年ごとの持ち回りで選ぶ輪番制をとっています。
FOMCの会合終了後に声明文(Statement)が公表されます。そしてFOMCの議事要旨(議事録)は会合の約3週間後に発表され、会合の中でどのような意見が出ていなたのか確認できます。
年に8回開催されるFOMCでは、FOMC参加メンバーによる米国経済と政策金利の見通しが公表されます。米国の政策金利は、フェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を点(ドット)の分布で表現したグラフはドットチャートと呼ばれ、市場参加者が将来の政策金利の動きを予測する上での判断材料とされます。